新春シャンソン・トークShow ~世情放談2019

感想文です!

 

2019年最初のライヴは、横須賀Younger Than Yesterdayで催されました、掲題のイヴェントにお邪魔しました。

出演は日比谷カタンさん、山田晃士さん。

発起人は、横須賀在住でお二人のライヴに足繁く通われている、Manammyさん。

東映の映画館だったというライヴダイナーで、それぞれのソロライヴ+トーク+セッションという豪華三本立ての企画でした。

ソロライヴのセクションは、お二人とも4~5曲をがっちり聴かせる密度の高いステージ。

カタンさんは横須賀発のカリスマ・hideの”Pink Spider"をカヴァーし、晃士さんは初めて訪れた土地で必ず歌う、という”ひまわり”を披露。形は違えど、『横須賀での開催』にこだわりを見せた本企画へのリスペクトを垣間見る構成でした。

セッションでは、Manammyさんのリクエストによる”タイガー&ドラゴン”をはじめ、カヴァーを中心に異才の共演をたっぷり見せて頂けました。もう、言うことなしの贅沢な時間。

そして、何と言っても今回の目玉はソロとセッションの狭間に置かれた、お二人の放談ショウです。

発起人・Manammyさんが予め用意した題目を、一つ一つ取り上げて語らい、広がらなかったり脱線が過ぎると『天の声』としてショウを取り仕切るManammyさんが”世情”(中島みゆき・1978)のサビ

「シュプレヒコォ~ルのぉ~波ぃ~」

を自ら歌ってぶった切る・・・というなかなかの剛腕、かつ斬新な進行でした。

 

用意されたネタとしては、

・賀詞交換/近況

・横須賀の印象

シャンソンとの関わり(フランス四方山話)

・平成歌謡として残したい曲

・影響を受けた音楽・アーティストについて

 

 

と、カナリ縦横無尽に、多岐に亘る内容。おそらく、お二人のパブリック・イメージから連想されるキイワードと、Manammyさんが聞きたいことをバランス取りつつ列挙されたのではないかと思います。

前半はテーマがあまり広がらず、即”世情”歌唱…という展開になり

「シュプレヒコォ~ル」の嵐。

何度も何度も聴いたおかげで、10日を経た今もビブラート深い美声が焼きつき、脳内リピートが止まらなくなる瞬間があります・・・・・・。

しかし後半、影響を受けたアーティストや、いま興味のあるモノゴトといった、地に足のついた、足元に則したテーマになると二人ともギアが入って、話が広がる広がる。

 

カタンさんが影響を受けたとして挙げたアーティストの枚挙の暇なさ、晃士さんが奥浩哉松本次郎、そして浜田省吾を語るときの熱量といったら。そこから垣間見える意外性が、二人の音楽観の広さ、奥深さにも繋がっているということがひしひしと伝わってきました。

願わくば、この辺りのお話をもっと掘り下げて聞きたかったところ。

「シュプレヒコォ~ル」も、そろそろ聞こえなくなってきます。

 

更に、平成最後ということで生み出されたであろう『平成歌謡』という概念。

この定義については演者と一緒にこちらもイロイロ考えさせられました

(個人的に真っ先に思い出したのは、平成一桁年代のCD屋によく見られていた『ニューミュージック』というカテゴリのこと。あれ何処行ったんだろうね?J-POPに成り代わったの?とかね)

振り返ると、音楽への触れ方や手に入れ方、関わり方を含め、受け取る手段が多様になった30年だったもの。物理的な話だけでなく、ひと括りが難しくなる、あらゆる可能性が生まれた季節だったのだと思います。

となると、晃士さんが背負う『ガレージシャンソン』も歌謡のひとつの流れといえるだろうし、カタンさんが披瀝する”FFBBSSB”に関しては、(昭和からになりますが)流行歌のクロニクルとして機能している。お二人から引き出される答えは、これまでの『歌謡』へのイメージや固定観念を超えたものになるのだと思います。世の移り変わりにつれて、『残したい』と懐古するよりも、概念や伝統も変わった『歌謡』の在り方についてのお話がちらりと伺えました。

これはお二人に託して語ってもらうには、今回の尺では手に余る、遠大なテーマな気がしました。

そして、『どうする、どうなる2019』という、掲題にはなかったテーマで、駆け足に語ってくださった今後の展望として、おふたりが標榜しているのが奇しくも『バンド』という形態だった・・・というのはまた、面白い結論でした。

晃士さんは『流浪の朝謡』をどう確立していくか。

カタンさんは、新しく始めるプロジェクトへの意気込み。

立ち居地は違えど、確たる世界観を組み立て、揺るがぬテクニックとスキルと表現力で、無双とも思えるソロ活動をしているお二人、だというのはこの日のライヴステージを見ても明らか。

その彼らが『バンド』での目標を見出すまでの経緯やきっかけは、もっとじっくり聞いてみたかったなァ・・・。

 

とにもかくにも『4年に一遍くらいの共演でいい』(山田晃士さん・談)とされていた彼らを横須賀に召喚し、旺盛すぎるサービス精神でイヴェント開催を成し遂げたManammyさんの胆力に敬意と感謝を。

四半期に一度くらいでも全然問題ないです!よ。

 

ちなみに、当日のトークの為に日比谷カタンさんが事前準備したスライドがTwitterに公開されています。

 

 ★追記

一部文言を加筆、編集しました。(2019/01/23)